退院







2009年4月9日

本日退院します

早朝ベッドに伏しながら、今回の入院を振り返った
癌を患わなければ、到底知る事が出来ない癌患者の苦しみを知り、
チューブに繋がれ闇の中で襲って来る死の予感に震えていた
癌患者同志ベットを並べ息をひそめ カーテン越の夜明けを待ち望む時、
孤独の中に不思議な平安がある事を見つけた

祈る事  感謝する事  愚鈍なまでに 単純に感謝し続ける事

平凡だった僕の人生に鮮やかな明暗の淵が出来た

食事する暇も無く深夜まで献身的に動くドクター
絶え間なく鳴らされるナースコールに対応する看護師さん達の切迫した
過激な労働条件 日本の医療現場の問題の深刻さを垣間見た
他国に比べると理想的に進歩した日本の医療保険制度を衰退させては絶対ならない
「社会」という言葉の持つ究極的な意味とは「助け合い=弱者を救う」
これに尽きるのではなかろうか だから 福祉・医療 の精神を失った時、
社会・国家は意味を失う
県立癌センターの廊下にはスタッフの方が季節に応じた
洒落たオブジェを装飾している 医療スタッフの「祈り」が感じられ、
癒しの「場」と「気」を提供してくれた
ありがとうございました
入院した時、固く茶色のままだった
病院内の桜の蕾も
今日は満開だ
53回目の僕の春は
今日 始まったばかり
  

                      

祈りのキルト




2009年4月8日



昨晩、看護師長(婦長さんでは無くて今はこう呼ぶ)から退院日についてお話があった。
つい居心地がいいので来週退院を考えていたのだが、病院の事情でそうもいかない様だ
予想より早く9日の退院となった
写真のキルトは教会のTさんが僕の入院の為に、縫ってくれた「祈りのキルト」だ
所々に下がっている糸を教会の皆で「祈りながら」結んでくれた
アメリカのキリスト教会の古くからの習慣らしい
このキルトに包まれながら  みなさんの「祈り」に包まれて
退院の日を迎える事が出来る
自分が想像しているより ずっと ずっと多くの人々のお陰で
多くの人に迷惑を掛ながら 多くの人の犠牲・献身によって
自分は生かされているんだなあ・・ 今回の入院で気付かされた